奈良市登美ヶ丘在住のデザイナーが神話に由来する地名の特徴を生かしたデザインでモニュメントをリニューアルし、それに関連したグッズの売り上げを地域おこしのために利用する活動を始めて2年がたつ。
奈良の地名で「とみ」が付いているところがいくつかある。「登美ヶ丘(とみがおか)」「富雄」「鳥見(とりみ)」などは、日本神話に由来するといわれている。いずれも奈良市の北西に位置し、50年ほど前から住宅地としても開発が始まった地域。
日本書紀には「初代神武天皇が、九州から東征してきたときに、現在の富雄、登美ヶ丘あたりで戦いがあり、その時『金の鵄(とび)』(金鵄ともいわれる)が現れ、金色のまばゆい光で敵の目をくらまし勝利した」ということが書かれている。
その名残が地名にあるといわれ、そのことをもっと市民に知ってほしいと地元で地域おこしに取り組んでいるのがデザイナーの加来(かく)慎太郎さん。2017年5月にUR都市機構と協力し、中登美第3団地の入り口に設置されて50年近くたつコンクリート製のモニュメントに金の鵄をデザインし塗装した。
加来さんは「元々団地名が書かれたモニュメントだったが、その形からりりしい金の鵄が今にも飛び立とうとするイメージを表した。自分たちが住む地名の由来を知り、地域の活性化につなげていきたかった」と振り返る。
モニュメントは奈良市中登美ヶ丘1丁目・中登美第3団地の一角で、西登美ヶ丘二丁目バス停そばにある。
グッズは地域のイベントでも販売するが、地名の由来やデザインに込めた思いも必ず伝えるという。「自分の街の歴史を知ることができてうれしい」という声や思いに共感する人も多いという。
価格は、トートバッグ=1,000円、Tシャツ=2,000円。「カフェと雑貨の店 アンティーム」(奈良市中登美ケ丘)で販売している。