来年開催される平城遷都1300年祭のメーン会場となる平城宮跡内の東院庭園で9月26日、「東院庭園観月会」が開かれ、月明かりの下、2,000人を超える応募者の中から抽選で選ばれた100人が優雅な宴を楽しんだ。
当日は、「天平の宴」体験として奈良時代に飲んでいたとされる天平茶を再現し来場者に振る舞われた後、「音絵巻コンサート」として篠笛奏者の井上真美さん、尺八奏者の竹田直朗さん、大倉流鼓奏者の清水晧祐さんによる華麗な演奏に聴き入った。
続いて赤膚焼燈火器作者の武田髙明さんが演出する燈火器かからもれる灯火と月明かりが会場を幻想的に照らし出す中、きらびやかな天平衣装をまとったミス奈良と奈良文化財研究所の職員が登場。衣装製作を手がけた山口千代子さんが「正倉院の宝物をデザインの参考にした」などと解説を行ったほか、来年放送されるNHK古代史ドラマスペシャル「大仏開眼」の関係者がドラマにちなんだトークも展開。その後、オカリナ奏者の宗次郎さんが6曲を独奏し、オカリナの美しい音色が同会を締めくくった。
同会は、平城遷都1300年祭100日前イベントで、同祭開催期間中に東院庭園で実施される「天平茶会」と「東院庭園音絵巻」の試行として行われたもの。来年10月9日から11月14日まで、毎日「天平茶会」が開かれるほか、週末の夜に「東院庭園音絵巻」として伝統芸能の披露やアコースティックコンサートを行う予定。
東院庭園は宮殿内にあった庭園で、当時は称徳天皇や貴族が宴会や儀式を行ったとされている。1998年に文化庁が復元してから一般公開されているが、イベントに使用するのは初めて。今年7月には国の名勝にも指定された。