大和の仏像をはじめ、京都や大阪などの仏像写真のみを集め展示した「みほとけたちの貌(かたち)」が10月4日、入江泰吉記念奈良市美術館(奈良市高畑町、TEL 0742-22-9811)で始まった。仏像写真だけを集めた展示は8年ぶり。
大和路の風景や仏像写真を半世紀にわたって撮り続けた入江泰吉氏との作品と写真師の工藤利三郎氏が100年前に撮った仏像写真約160点を展示。初展示となる作品50点も。
入江氏の初期作品は、仏像をさまざまな角度からとらえ、手に描かれた法輪や、国宝の十一面観音菩薩立像の後頭部など、普段は見ることができない仏像の姿も見ることができる。そのほか秘宝の仏像写真や、入江氏直筆の撮影資料も展示する。
アメリカが戦争の賠償として仏像などの文化財を持ち帰るという噂を耳にした入江氏は、仏像を写真に記録しておこうと決意し、仏像写真を撮り始めた。その原点ともなる疎開先から戻ってきた法華堂の四天王像の写真も展示。
「ライティングや、撮り方で仏像はぜんぜん違った姿を見せる。仏像に後ろに写った改修前の寺院や仏像なども見ることができる内容のマニアックな展示になっている」と同館学芸員・説田さん。
同館では、入江氏が「浅はかな心をみすかされているように思った」という思い入れの深い東大寺戒壇院の広目天立像のポスターを限定販売している。B1サイズ(1,500円)。
開館時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。入場料は、一般=500円、高校生・大学生=200円、中学生以下=100円(小・中・高校生は毎週土曜無料)。月曜休館(祝日の場合は開館、翌日休館)。12月23日まで。