奈良市春日野町の氷室神社で5月1日、伝統行事「献氷祭(けんぴょうさい)」が営まれた。全国製氷販売両組合の代表者約100人や、一般参拝者らが訪れ氷業界の商売繁盛や、奉納五穀豊穣を祈願した。今年で1298年目。
同祭は、吉城川の清流で池を作り冬に張った氷を貯蔵し、平城京に献上したのが始まり。平安京遷都後途絶えていが1912(明治45)年から、当時の氷業界の大御所龍紋氷室と大阪氷業界が奉賛の下、再開された。
法要は11時から境内で営まれ、海の幸のタイ3匹と、川の幸のコイ3匹がそれぞれ入った氷柱2基(各高さ1メートル、幅60センチ、重さ135キロ)が神前に供えられた。氷柱はニチレイロジスティクス関西が奉納したもの。
大阪氷卸協同組合の小西始理事は「不況の影響で、業界にとっては一段と厳しさを増すのでは。エコ商品の宣伝強化を図り販売促進に力を入れていきたい」と話した。
参拝者らには「かち割氷」が振る舞われ、暑い陽射しの中氷を口にして涼んだ。