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奈良市非公認キャラ「リニー君」、誕生秘話 活動の裏には兄弟愛も

リニー君への思いを語る森山さん(奈良市役所で)

リニー君への思いを語る森山さん(奈良市役所で)

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 特異なキャラクターで全国的に注目を集めている「リニー君」に8月21日、奈良市役所で話を聞いた。

奈良市にリニア中央新幹線が走るところを市役所内の「第一次大極殿正殿」の模型と「リニー君」でイメージ

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 リニー君は大阪府寝屋川市在住の森山風如(かぜとし)さん(42歳)。偶然にも森山さんが生まれた1973(昭和48)年は、奈良市付近を通ると明記される国のリニア中央新幹線基本計画が策定された年だ。

 森山さんはリニー君以外でも仮装をしており、これまでのレパートリーは90個ほどあるという。お天気キャスター・斉藤雪乃さんのファンといい、目を引こうと仮装をして番組観覧に通ううち、「ブレークしそうね」との言葉をもらったという。

 リニー君としてはリニア新駅誘致イベントで出演者の目を引こうと今年5月に初めて登場し、直立不動でイベント観覧するリニー君の異様な光景に周りの観衆は引き気味に。しかし、出演者の三戸なつめさんが声を掛け一緒に写真撮影し、その後なつめさんのブログに写真が掲載された。「この時は商業施設内をできるだけ歩かないよう、駐車場から大回りして会場入りした」としっかりした気遣いも見せる。

 状況に変化が見られたのは6月に開かれたイベントのミニライブで、なつめさんが行うキャベツ太郎をまくパフォーマンスに合わせて、キャベツ太郎のコスプレで会場内を練り歩き子どもらに囲まれ、人気を集めていた。

 ミニライブ後の握手会でなつめさんに「一緒に奈良を盛り上げて行きましょうね」との言葉をもらったといい、「その言葉にやられた」と森山さん。その後は、「お世話になった奈良市に何か協力できれば、私も生きがいを感じられそう」と、8月に橿原市で開かれたイベントにも自主的に出向いた。

 8月17日放送されたテレビ番組出演後、状況が一変しその人気に火が付いた。今の状況については「とてもうれしい。皆さんに感謝している」と喜びをかみ締める。

 そんなリニー君が活動する一つの目的には兄弟を思いやる気持ちがあった。京阪萱島駅近くにあるお兄さんが営む焼き鳥店「こびと屋」(大阪府寝屋川市)のことも。20年近く営業するお店は、最近になり大手居酒屋チェーンの進出で売り上げが低迷したといい、森山さんは昨年に自由な時間を作ろうと勤めていた建築会社も退職し、同店を盛り上げに力を注ぐ。

 当初は「何をしてんねん」と兄弟からも冷たい視線。しかしテレビ出演をきっかけに「これは本物やな」とその視線も変わり、今は理解を得て協力してくれているという。お兄さんに「死ぬ気でやるから兄貴も死ぬ気で協力してくれ」との言葉を送り、自身も同店を盛り上げるため必死にその方法を模索した一つの結果だ。

 森山さんは「朝生ワイド す・またん!」(読売テレビ)に観覧に行くことを日課にしている。朝早い番組観覧に出向くため飲みの誘いも断っているという力の入れようで、毎日50分かけて自転車に乗りテレビ局に向かう。今後は天候が良ければリニー君での観覧も予定しているという。

 「リニアについて勉強し知識を身に付けてスキルを磨きたい。今はテレビにも取り上げてもらいちやほやされているかもしれないが、自分もやる気を出し、あぐらをかかずもっと高みを目指したい」。衣装に使用頻度も高くなり汚れやぶれなどに対応できていないといい「衣装のメンテナンスもしっかりして万全の体制を取り、リニア新駅誘致活動もがんばりたい」と意気込む。「今はハードなスケジュールに追い付いていけない状態。余裕を持って行動できるようにしていきたい」とも。

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