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猿沢池ほとりに「書」がコンセプトのホテル開業 客室に奈良ゆかりの書家ら27人が揮毫

真言律宗総本山西大寺 教学部長 佐伯俊源さん書「大茶盛一口めして皆なごむ」(バルコニー付きツイン室)

真言律宗総本山西大寺 教学部長 佐伯俊源さん書「大茶盛一口めして皆なごむ」(バルコニー付きツイン室)

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 世界遺産・興福寺を望む猿沢池のほとりに、宿泊施設「ホテル天平ならまち」(奈良市樽井町1、0742-20-1477)が4月14日開業した。

レストラウンジの様子

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 日本で初めて「書」をコンセプトにしたホテルで、27人の書家らが客室の壁に揮毫(きごう)した作品を鑑賞しながら滞在できる。奈良にちなんだ言葉や万葉集の和歌や絵などが施され、全44室同じ部屋がひとつとしてない。

 建築デザインを手掛けたのは、奈良県出身で日本建築美術工芸協会優秀賞をはじめ、海外でも多数受賞実績のある橋口新一郎さん(49)。「飛鳥時代から奈良時代へと続く歴史の中で墨や筆の文化・伝統を受け継いできた。奈良を訪れる人に『奈良墨』や『奈良筆』を感じていただける『書』をコンセプトにした」と話す。

 奈良にゆかりのある書家(日展審査員など)・僧侶・万葉学者・落語家・アーティストの作品を鑑賞しながら滞在できる。橋口さんは「直接壁に揮毫するこだわりは、書く人がその場に身を置くことで感じた空気感や臨場感も作品に込められているので味わってほしい」という。

 家具や床は全て吉野材のスギやヒノキを、客室のランプシェードやレストラウンジの障子紙は吉野手すき和紙「宇陀紙」、洗面には女性窯元の古瀬堯三さんの「赤膚(あかはだ)焼」を使っている。ロビーには橋口さんの作品「奈良晒(ざらし)で作った茶室」を設け、西大寺大茶盛の茶わんと茶せんが飾られている。ホテルに滞在しながら、至る所で奈良の歴史・風土・文化を感じられる。

 総支配人の小林一裕さんは「部屋やテラスからのロケーションも自慢。猿沢池や五重塔、御蓋(みかさ)山・春日山などの景色が間近で楽しめる。寺社とのコラボや、自然の豊かさを生かしたネーチャーツアーも企画していく。コロナ禍で大変だが、しっかりと奈良の魅力を語り継いでいけるホテルを目指したい」と話す。

 地下1階、地上4階建て。延べ床面積は2246.11平方メートル。宿泊料金は1万7,600円~(1室2人利用)。 

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