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奈良のギャラリーで画家と写真家2人展「INNER LIFE」 人間の内なるもの切り取る

作品搬入時の画家の平野游さん(左)と、写真家のYann Becker(ヤン・ベッカー)さん

作品搬入時の画家の平野游さん(左)と、写真家のYann Becker(ヤン・ベッカー)さん

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 奈良県香芝市在住の画家・平野游(ゆう)さんと、写真家のYann Becker(ヤン・ベッカー)さんの2人展「INNER LIFE 2Artists' Imaginary」が10月28日、ギャラリー「CLASS」(奈良市椿井町、TEL 0742‐24‐0228)で始まった。

それぞれの作品

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 「人」をモチーフに平野さんは「Inner Portrait」(心の内なる肖像画)絵画作品8点とパッケージ作品6点、Yann Becker(ヤン・ベッカー)さんは写真作品18点を展示する。

 広告や印刷物のディレクターでもある平野さんは画家として長年、街や都市を描いてきたが、近年街の主役でもある「人」をクローズアップし、現代社会・都会で生きる人たちにモチーフが変化してきたという。「彼らの表情は不安や焦り・畏れなどを含みながらも孤高。その内側に迫り、内なる肖像画とした」と話す。

 モデルは都会で生きる現代の人々。「目」に不安や焦燥感を表現したといい、「作品から彼らの人格を感じ、何を問い掛け話しだすのか、心で対話するやり取りも感じてもらえれば」と平野さんは話す。襖絵(ふすまえ)のようなイメージで段ボール地に描く作品のほか、カロリーメイトの箱に描いた「現代社会の象徴として、機能食パッケージに不安を隠しながらも強く生き抜く人たち」という作品もある。

 ヤンさんは「モデルはアウトサイダーの人たち」と話す。スイス生まれ大阪在住10年で、世界を股にかけ舞台美術にも携わる。ある時訪れた日本で大阪市西成区などの下町文化に出会った。昔の日本が残っている歴史と温かい人情が好きで毎週足を運んでいるという。

 「人生とは何か」を常に考えているヤンさんは、アウトサイダーと呼ばれる人たちの人生の話を聴き、「失うことを恐れず自分の人生に果敢に挑戦する人生の深み」を写真作品で表現し続けている。

 「彼らとゆっくり話をして打ち解けて信頼やつながりが生まれた」とヤンさん。今回の作品は内面の世界・欲望といった「内奥をさらに追及する旅」と言う。「普段は閉ざされている私生活の写真。住居やプライベート空間に入り彼らの安らぎや苦しみを切り取った。彼らの見た目や姿の裏面を観察すること、それはそれぞれの人生の内面に入り込み密着し深く長い物語を語ること」と思いを込める。

 作品を鑑賞した50代女性は「普通では私たちが感じ取れなかったり見られなかったりする人間の本来持っている姿を見ることができた。生きているってそういうことであり、現実の現代社会に目を向けた作品に圧倒された」と話す。

 開催時間は12時~19時。入場無料。11月8日まで(2日は休廊)。平野さんとヤンさんは毎日在廊する。

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