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奈良町の洋菓子店、隣の資料館と間違って来た観光客にクッキー進呈

「間違えて入店した人に『庚申さんの身代わり申クッキー』進呈します」と店主の加藤さん

「間違えて入店した人に『庚申さんの身代わり申クッキー』進呈します」と店主の加藤さん

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 町家の洋菓子工房「こといろ」(奈良市西新屋町、TEL 0742-31-5534)が現在、隣接する「奈良町資料館」の入り口が移動したことにより、同館と間違って店を訪れる観光客らに「庚申(こうしん)さんの身代わり申(さる)クッキー」を進呈している。

奈良町資料館入り口

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 元興寺の旧境内を中心とするこのエリアは、江戸時代末期から明治時代にかけての町家の面影を今に伝え、通称「奈良町(ならまち)」と呼ばれる。一筋入ると迷路のような路地が多く、地図を片手に散策する観光客の姿も多い。

 奈良町資料館は、奈良町の文化や庶民信仰についての資料などを展示している町家建築の施設で外国人観光客も多く訪れる。先頃入り口を西側から北側に変更したが、迷路のような細い路地に加え、似たような町家の格子戸が多いこともあり、隣接する同店に「ここは資料館の入り口ですか」と1日数組が間違って訪れるという。

 間違いに気付き申し訳なさそうな観光客に同店店主の加藤さんは「最初は正直、目的の違う客ばかりでがっかりしたこともあった。間違いを指摘するだけでなくコミュニケーションを図り、町家が並ぶ奈良町ならではのエピソードとして当店の特徴を生かしたユーモアとおいしさで旅の思い出にしてもらいたいと考えた」と話す。

 同館と間違え入店した人に進呈しているのは、奈良町の風物で民家や商家の軒先につるされる赤い布でできた飾り「庚申さんの身代わり申」を描いたクッキー。体を丸めた赤い申でコロンとした姿は愛嬌(あいきょう)もある。厄除けのまじないとして奈良町に伝わる申をアイシングで描いた。

 「奈良町は道が細く、迷ったり間違ったりもあると思うが気軽に道を聞いて散策を楽しんでほしい。クッキーが奈良の旅の土産話の一つなればうれしい」とも。

 営業時間は10時~19時。木曜定休。「庚申さんの身代わり申クッキー」は、その日用意したものが無くなり次第終了。

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